第十一夜 まぶた


 闇の中では目をつむっているのか開いているのか分からない。少なくとも、彼にはそうだ。
 灯りのない中で幾度目を開けたり閉じたりしても、その境目を見極めることはまだできない。目の周りが痛くなるほど繰り返したけど、結果はいつも同じだ。
 あまりそんなことをやっているので、ついにはそれが癖になってしまい、部屋の松明が消えると目が自然にその動きをしている。

 ――なんだい、目をそんなにパチパチして。おかしな子だね。

 周りの魔物たちが不意にそう言って笑い、そのたび彼はどきりとして顔を赤らめる。

 なんで見えるんだろう、みんなには。
 大人になったら、自分にも見えるようになるんだろうか。

 彼にとって、その真相も闇の中だ。


END


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